ターボ分子ポンプ

ターボ分子ポンプの構造・原理

一定の排気速度と長時間の連続運転を実現
ターボ分子ポンプは、高速回転する動翼と固定された静翼によって構成されている真空ポンプの1つです。高速回転する動翼で分子に運動量を与え、排気する役割を担っています。分子領域における排気速度が一定で、連続したガス排気が可能。また、再生作業をはじめとした保守を行う必要がなく、引火性・腐食性ガスの排気にも対応できます。

動翼の高速回転によってガスを排気
1秒間に数万回もの速度で高速回転する動翼が、吸気口から入ってきた気体分子を弾き飛ばし、ガスを排気する仕組みになっています。

気体分子の多い大気中では動翼にかかる負担が大きく、強度に問題が生じかねません。そのため、ドライポンプや油回転真空ポンプのような補助ポンプを使用し、ターボ分子ポンプの運転前にある程度真空にする必要があります。また、高速回転しているので安全性の注意も必要です。

清浄な真空を得られるオイルフリーも存在
ターボ分子ポンプはローターの支持方式によって種類が分かれ、油潤滑式の玉軸受型、グリス潤滑式、磁気浮上型の3種類が存在します。そのなかでも磁気浮上型はオイルフリーのため、油による気体分子の汚染を防止することが可能。清浄な真空を得られる一方で、運転にはバッテリーが必要です。

向いている使用用途

ターボ分子ポンプは、以下の使用用途に適しています。

  • 半導体製造装置
  • 蒸着装置
  • スパッタ装置
  • 分析装置
  • エッチング装置
  • 加速器
  • FPD製造装置など

ターボ分子ポンプのなかでもオイルフリーの磁気浮上型なら油による汚染の心配がないため、汚染に敏感な半導体製造やFPD製造などに利用されています。

さらに作動圧力範囲が広いほか、回転体の起動・停止によって排気作用を制御できる使いやすさから、幅広い用途で使用されている真空ポンプです。

現在の真空技術においてなくてはならない存在で、半導体や新しい技術の発展に貢献してきました。ターボ分子ポンプの利用は今後も広がると考えられており、今後の開発に期待が寄せられています。

完全オイルフリーのドライ真空ポンプを使用するメリット

完全オイルフリーのドライ真空ポンプを使用する最大のメリットは、オイルを使用しないことです。油による汚染の心配がないほか、オイルの交換やメンテナンスといった手間がかからず、業務を効率化できるメリットがあります。また、ランニングコストがかからないのも嬉しいポイントです。

そのほかにも、潤滑油や中の機材パーツにもオイルを使用していないドライ真空ポンプなら、徹底したクリーン環境を実現できるメリットもあります。

ターボ分子ポンプを扱っているメーカー

アルバック機工

アルバックは真空分野での豊富な技術・経験を持つメーカーで、ターボ分子ポンプをはじめ、油回転ポンプやルーツ型ドライポンプなどを幅広く取り扱っています。利用シーンや使用用途をもとに顧客のニーズにより合った真空ポンプを提案してくれるため、自社に合った製品を導入しやすいでしょう。また、アフターフォローやメンテナンスも充実しています。

大阪真空機器製作所

大阪真空機器製作所は、世界で最初に複合型ターボ分子ポンプや世界最大のターボ分子ポンプ、極高真空磁気軸受形複合分子ポンプを開発した真空機器専門メーカーです。大阪真空機器製作所の主力製品となるターボ分子ポンプのなかでも、磁気軸受形複合分子ポンプTGkine®は広い真空領域での大流量排気と、優れた到達圧力・高圧縮比を強みとしています。

佐藤真空

佐藤真空は、90年以上の歴史を持つ真空専門メーカーです。これまで国内を中心に3,000社以上との取引実績があり、中・小型のベルト駆動型真空ポンプ分野での市場シェアを50%以上獲得しています。高真空排気システムでは、不意の大気導入に強い構造のターボ分子ポンプを採用。水配管が不要で保守の負担を軽減しているほか、使いやすさを重視したコンパクト設計になっています。

荏原製作所

1912年にポンプメーカーとして創業し、主力製品のポンプをはじめ、半導体製造装置やコンプレッサ・タービンなどを開発している会社です。ターボ分子ポンプには、磁気軸受型のEMT型と玉軸受型のEBT型の2種類を展開。さまざまなオプションも取り扱っており、ニーズに合ったターボ分子ポンプを導入できます。

オイル不使用・幅広く使えるスクロール型
ドライ真空ポンプメーカー3選

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食品製造向け

アネスト岩田の
DVSLシリーズ

DVSLシリーズ

引用元:アネスト岩田公式HP
(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/vacuum-equipment/dry-vacuum-pump/dvsl-500e)

  • 排気経路内にベアリングが無いため、密閉性が向上し衛生面も安心
  • 真空状態でのネリが必要な製麺会社の要望に応えた実例あり
半導体製造向け

宇野澤組鐵工所の
KTSシリーズ

KTSシリーズ

引用元:宇野澤組鐵工所公式HP
(https://www.unozawa.co.jp/product/dry/)

  • 到達圧力:≦0.08Paという半導体製造に適した真空状態を実現
    ※KTS030-H(ECOタイプ)最大排気速度:500L/m、到達圧力:≦0.08Pa(2024/5/24時点)
  • スパッタリング装置、イオンプレーティング装置といった薄膜形成プロセスに対応
  • 水蒸気やミストといった小さな水滴もしっかり排出
製薬・化学品製造向け

東製のスクリュー式
ドライ真空ポンプ

スクリュー式ドライ真空ポンプ

引用元:東製HP
(https://www.dryvacuum-pump.com/wp/wp-content/uploads/anestiwata_dvsl-500e_image.png)

  • 化学反応、蒸留操作などに適した環境生成のため、さまざまな圧力領域に対応
  • 接ガス部は耐食性ガス対策のため、特殊コーティングすることにより錆から守る
  • 化学物質や粉塵の発生を考慮し、少ない部品で分解・組立・洗浄が可能
さまざまな真空装置にフィットする スクロール型ドライ真空ポンプのメーカーに注目!

接ガス部だけでなく、各部にギアオイルなども使用していないスクロール型のドライ真空ポンプは、さまざまな使用環境に幅広く対応できるメリットをもっています。
このサイトでは、スクロール型の真空ポンプを扱っているメーカーを、サービスの多様さで比較しています。