ドライ真空ポンプは油や液体を封止に使わないためクリーンな排気を実現できるのが特徴です。そのため幅広い分野で活用されていますが、不具合や故障を未然に防ぐためには点検・メンテナンスが重要。
ただ、ドライ真空ポンプにはルーツ型やスクロール型、ベーン型、ダイアフラム型などさまざまな種類があるうえ、製造しているメーカーごとに構造に違いがあります。そのため、メンテナンスの方法についても異なります。以上を踏まえたうえで、ドライ真空ポンプのメンテナンス例について紹介します。
日常点検では、ポンプの動作音の確認やポンプケーシングの表面温度の変化を観察します。また、フィルターやベーンは使用時間や期間に応じて定期点検を行います。オーバーホールは3年をめどにメーカーに依頼すると良いでしょう。
頻度の高い点検内容としては、ペーパーエレメントの清掃・交換が挙げられます。真空ポンプ内に吸気した空気のろ過フィルターの役割をもっているため、こまめな清掃が大切。また、1年程度を目安にギヤオイルの点検も行い、オイルが黒く変色していないかを確認します。さらにタイミングベルト等のチェックも行い、摩耗や亀裂など、破損などがないかチェックします。
なお、このメーカーではオーバーホール対応として、使用済みポンプユニットをメーカーに送るとメンテナンス済みの再生品を送ってくれるようです。
ドライ真空ポンプのメンテナンスは種類や製品によって異なります。点検内容・点検頻度・交換頻度なども大きく異なる場合があるため、導入する製品で指示されたメンテナンス内容をしっかりと確認しましょう。
日頃のメンテナンスはもちろん、定期点検等を怠ると故障や事故につながります。ドライ真空ポンプを長く安全に使用するためにも、メンテナンススケジュールを立てることをおすすめします。
ドライ真空ポンプを使用するにあたり、動作不良や異常に気付くことがあるかもしれません。その場合、すぐに使用を中止し修理やオーバーホールを行うことが大切です。異常を放置して使用し続けた場合、ポンプの故障だけではなく重大な事故につながる恐れもあります。
ドライ真空ポンプの使用中に起こり得る動作不良・異常では、
などが挙げられます。ベアリングやモーター、排吸気弁の破損等さまざまな原因が考えられるため、少しでも動作不良や異常を感じたら修理やオーバーホールを検討しましょう。
また、到達圧力でポンプを使用している際に停電などによる停止が起こった場合、ポンプ内部は真空状態のままになっており、再起動できない可能性があります。そのままではポンプの破損につながるため、真空破壊を行う必要があります。
ドライ真空ポンプの取り扱い書には注意書きやトラブルシューティングなどが記載されていますので、内容を確認し、必要に応じてメーカーや業者に相談しましょう。
真空ポンプで生じやすいトラブルとして、ポンプの圧力が下がらないケースがあります。その要因としてダイアフラムの破損や吸気弁・排気弁の破損、エアフィルター・サイレンサーの目詰まり、吸気管からの漏れ、入力電源の異常などが挙げられるでしょう。消耗品などが要因となることもあるので、適切なタイミングでの交換が必要です。
真空ポンプの作動中に異常音が発生するトラブルが生じることも。この要因はポンプの中に異物が入り込んでいないか、入力電源に異常がないか、ダイアフラムの破損がないかなどが挙げられます。もし異常音が続く場合には、点検や修理を相談した方が良いでしょう。
ポンプ自体が稼働をしないというトラブルが起きることもあるでしょう。そもそもコンセントまで電源が届いていないケースや入力電源に異常があるケースなども考えられます。電源が届いているにもかかわらずポンプが回転しない要因としてポンプの内部が真空状態になっていない、雰囲気の温度が低すぎる、サーマルプロテクタが作動していないなどが挙げられるでしょう。