ドライ真空ポンプは、連続して使用していると内部に熱がこもり、故障などのトラブルを起こしてしまう機械の一つです。ここでは、空冷式のドライ真空ポンプについて解説します。
まずドライ真空ポンプとは、油などの液体を使用せずに真空を生成する装置のことです。化学や製薬、半導体のほか、食品などの産業で使用されることが多く、メンテナンスが少ないのが特徴です。
その中でも空冷式のドライ真空ポンプは、機器の温度の管理に空気を利用するタイプのドライ真空ポンプで、冷却水や冷却用の媒体を用意する必要がありません。完全にオイルフリーで運用できるため、特にオイルや水分などの影響を受けたくない場面での用途に向いています。
空冷式のドライ真空ポンプは、運転中に発せられる熱を外部表面や冷却フィンを通してポンプ外部に放散することで温度の維持を管理しています。冷却水、冷却媒体の用意が不要なことから、水冷式と比べ、メンテナンスが少なく、運用コストが削減され、設置スペースも節約できるなどのメリットを持っているのが特徴です。
ヤマト科学株式会社のPKシリーズは、水分、腐食性のガスを含むバキュームに適したシリーズです。メンテナンスサイクルは6年に一度と、空冷式の強みであるメンテナンス頻度の低さを活かしています。サイレンサーが標準搭載されているため、初動の騒音も大幅に低減できる点が特徴です。
株式会社荏原製作所から発売されているEV-PA型は、省エネルギーを強みとした空冷式ドライ真空ポンプです。冷却水が不要で電源のみあれば稼働できるコンパクトさがメリットです。重量に関しても、EV-PA250が16kg、EV-PA500が21kgと軽量化を達成しているため、持ち運んでの使用も容易でしょう。
FR060Dは、株式会社大阪真空機器製作所から発売されている空冷式のドライ真空ポンプです。開放時の排気速度800L/minと、大気圧での稼働が可能となっています。環境温度は5~40℃のため、冷蔵空間でも使用できる点がポイントです。
オリオン機械株式会社から発売されている空冷式のドライ真空ポンプが「KCEシリーズ」です。キャスタ有り、キャスタ無し、高真空モデルなど細かい仕様が異なった製品が多く出ており、環境に適したドライ真空ポンプを選べる点がメリットです。また、インバータが搭載されたパッケージ型真空ポンプである点も特徴で、この機能により省エネと長寿命化を達成したシリーズとなっています。
空冷式のドライ真空ポンプは、冷却媒体や冷却水が不要という点で大きなメリットを持つドライ真空ポンプです。省エネルギー、省スペースのドライ真空ポンプの導入を考えているのであれば、空冷式のタイプを検討してみてください。