ドライ真空ポンプは、定期的にオーバーホールを行うことで、致命的な故障をある程度避けることが可能になります。ここでは、オーバーホールの目的や流れについて解説します。
ドライ真空ポンプに限らず、オーバーホールの目的は不具合を起こしている・起こしそうなパーツの早期発見と、パーツ単位の交換による故障の予防にあります。内部をパーツごとに細かく分解することで、機械の表面上のチェックだけでは見つけられなかった不具合を見つけることができるのです。
また、パーツごとにしっかり洗浄し、汚れが溜まることで発生する不具合も解消することができます。
ドライ真空ポンプは、年1回または5000~8000時間の使用のタイミングでの定期メンテナンスが推奨されています。このメンテナンスのタイミングで軽微な不具合などが発見されたら、オーバーホールを行うのがおすすめです。
定期的なメンテナンスを行わず、ポンプが動作しないなど深刻な症状が出た後では、オーバーホールで修理しきれないこともあります。注意しましょう。
メーカーなど企業にオーバーホールを依頼するのであれば、対応可能かどうか、納期がどれくらいになるかなどの確認の連絡をしましょう。オーバーホールは時間を要する作業であり、2週間から1か月程度が標準納期となります。依頼するタイミングによっては、混み具合などから長くかかることもありますので、依頼前に納期の確認をしておくのがおすすめです。
オーバーホールでは、まず機器の分解を行います。そのタイミングで、ポンプ内部の摩耗状態や破損がないかなどを細かくチェックしましょう。分解を終えたら、パーツごとに洗浄を行っていきます。手洗い、超音波洗浄など、機器や汚れ、摩耗の具合に合わせて洗浄方法を分けて行うのがおすすめです。
各パーツの洗浄まで完了したら、組み立て作業に入ります。このとき、破損しているなど、新しいパーツへの交換や手入れが必要なものはその準備も済ませましょう。
真空ポンプ本体の組み立てが完了したら、試運転を行い、問題なく稼働するかチェックをします。満遍なくテストを行い、適切な作動が確認できたらオーバーホール完了です。
ドライ真空ポンプは、定期的なメンテナンスと、メンテナンスに伴う定期的なオーバーホールで深刻な故障を避けられる可能性が上がります。業務に支障が出ないよう、早めの不具合の発見を心がけましょう。
また、オーバーホールは時間を要する作業となるため、1台をオーバーホールに回しても滞りが出ない台数の運用がおすすめです。ドライ真空ポンプはメーカーごとに特徴が変わりますので、どんなドライ真空ポンプを導入するか、比較検討してから決定するのがいいでしょう。