水冷式のドライ真空ポンプは、真空を作る際に水や油を使用せず、主に冷却水・冷却液で冷却する真空ポンプの一種です。ここでは、水冷式のドライ真空ポンプについて解説します。
水冷式のドライ真空ポンプは、空冷式のものと比べて冷却効率が高く、大型の装置や高真空が必要となる環境に適しています。 食品や医薬品では真空乾燥や包装となるパッキング、半導体製造ではエッチングや成膜プロセスでの使用に適した製品です。
ドライ真空ポンプは、ポンプ内部に設置されたスクリューなどの回転機構が外部からガスを引き込み圧縮し、排気口から外部へ排出する仕組みを持っています。このポンプの動作に伴い発生する熱を、冷却水・冷却液(フッ素・シリコンなど)で除去するのが水冷式のドライ真空ポンプです。
冷却水の供給方法はメーカーや機械により異なっており、外部ジャケットとして装着されている場合や、冷却回路が設置されそこを冷却水・冷却液が通る場合など、複数の方法があります。
一般的なタイプの水冷式ドライ真空ポンプでは潤滑剤や冷却液の排出が不要なため、環境への影響が少ないメリットがあります。また、冷却効率が高いため高温や高圧のガスでも処理が可能です。
デメリットとしては、導入コストがやや高くなる点、冷却水・冷却液の持続的な供給が必要になるため、設置場所に配慮する必要があります。
株式会社アンレットが製造する「CT6シリーズ」は、排気速度500L/minで電動機出力0.75kWのCT6-36Pから、排気速度6000L/minで電動機出力7.5kWのCT6-450Pまで、性能に応じた幅広いラインナップが用意されています。
オリオン機械株式会社が提供する「KCEシリーズ」は、静音化を特長としており、運転音は70~73dBとされています。
TRVシリーズは、縦型構造を採用して設置面積を抑えた水冷式ドライ真空ポンプで、株式会社 宇野澤組鐵工所が提供しています。冷却水用のジャケットや回路が必要となる点から、大型化しやすい水冷式ドライ真空ポンプの課題を解消する設計が特徴です。
水冷式ドライ真空ポンプは、高温や高圧のガスに対して冷却効率が高い製品です。一般的なタイプでは冷却液や潤滑剤の輩出が不要なため、環境負荷を抑え、製造工程の清浄度向上が必要な産業で使用されています。