近年ではドライ真空ポンプの需要が高まっています。そこで、ドライ真空ポンプの市場や需要が高まる背景などについて紹介します。
ドライ真空ポンプは半導体産業を中心に高い需要があります。
Gear-Net Japanが2021年7月10日に示したレポートによると、ドライ真空ポンプの市場の収益面では今後5年間で3.1%の年平均成長率(CAGR)が見込まれるとしています。また、世界市場においては2026年までに2億2,183万ドルへ達する見込みとのこと。2020年では1億9,624万ドルですから、ドライ真空ポンプの市場における成長への期待がうかがえます。
なお、真空ポンプの製造においては、日本や欧米エリアのメーカーがほとんどを占めているようです。日本メーカーが海外へも輸出していることから、世界規模におけるドライ真空ポンプの市場で日本が重要な立ち位置にいることがわかるでしょう。
ドライ真空ポンプの市場における成長が見込まれている理由について、あらゆる産業で幅広い用途に適していることから、将来的にも需要がますます高まっていくことが予想されます。
従来は油を使用しており、完全にクリーンな環境を構築するのが困難でした。とくに半導体の製造においてクリーンな環境は必須のため、油を使用しない真空ポンプは高い需要が得られたのです。ドライ真空ポンプの登場は注目を集め、ウェットからドライへと転換する「ドライ革命」と表現されるほどでした。
ドライ真空ポンプは半導体プロセスや真空蒸留、真空包装、脱ガス、薄膜、真空治金、真空含浸、真空乾燥、宇宙開発などさまざまな用途に適しています。そのため、FPD電子・半導体産業や研究施設、食品業界などから幅広い需要があります。さらに自動車産業や医療機器、分析・計測機器、金属治金産業などでも導入が進んでいるようです。
ただ、ドライ真空ポンプの発売当初は、ドライ真空ポンプが油回転真空ポンプなどに比べて複雑な構造であることから、高価なものとされていました。しかし量産化されたことや技術の発展もあり、現在では導入しやすい価格となっています。また、ドライ真空ポンプは油や液体を使用しないためメンテナンスも容易。そのため、幅広い用途で活用される真空ポンプとなったのです。
世界の真空ポンプ市場は2020年に51.4億米ドルと評価されており、2026年までには80.1億米ドルにも達成すると予想されています。その予想から分かるように、今後も成長する分野だと分かるでしょう。
主に半導体業界において真空装置の需要増加が見込まれており、装置の注文量アップが期待されています。装置の受注はアジアやヨーロッパで増加傾向にあり、北米では減少傾向にありました。一部のエリアでは減少傾向はありますが、全体的には増加しているエリアが多くなっています。
真空ポンプ市場が全体的に成長し続ける理由として顧客の新しい生産技術への投資です。またもうひとつの成長理由は、ある程度の生産能力への投資によって推進していると考えられています。