ドライポンプとロータリーポンプの違い

ドライポンプとロータリーポンプの違い

ドライポンプ

ドライ真空ポンプとは油や液体を使用しない非接触型の真空ポンプです。クリーンな環境が必要とされる質量分析計・電子顕微鏡などの分析装置などで活用されており、真空乾燥工程・成膜工程などの用途での導入もされています。特徴として主に「オイルフリーでクリーンな真空」「大気圧から高真空まで到達」「定期メンテナンスが不要」の3つが挙げられます。

ドライポンプは油や水が不要で扱いやすいというメリットがあり、排気原理によって、以下のように分類されています。

  • ルーツ型:
    メカニカルとブースターポンプを組み合わせた画期的なドライ真空ポンプ。排気速度のアップに期待でき、複数のポンプと併用して使用することが可能です。冷却水なしに稼働できるなど利便性が高いのも魅力のひとつ。
  • スクロール型:
    2つのスクロールが重なり、スクロールが旋回運動し、外側から内側へ空気を圧縮・排出することで真空状態を作り出す構造です。コンパクトであり、高真空・低振動・低騒音・省エネで、さらに接ガス部にオイルを使用しないため幅広い用途で使用されています。
  • クロー型:
    爪の形をした2本のクローローターがあり、逆方向に同じ速度で回転し、クロー間に圧縮ポケットが形成されたことで吸引したガスを圧縮して排気する仕組みになっています。クリーンな排気や省エネ、低メンテナンスというメリットも。
  • ダイアフラム型:
    ダイヤフラムの上下運動を行い、吸気口から入った気体を排出口へスムーズに出すという仕組みです。非常にシンプルな稼働システムになっているため、メンテナンスも非常に楽という特徴があります。
  • 回転翼型:
    比較的シンプルな構造で、低真空領域で排気速度が獲得できます。吸着・搬送の機器を真空状態にできる装置として幅広く活用。
  • 揺動ピストン型:
    ピストンが備わっており、ピストンが揺れ動きながら往復運動し、吸入弁と吐出弁が交互に開閉し、大気を減圧することで真空状態を作り出す仕組みです。

ロータリーポンプ

油回転真空ポンプとも呼ばれている、機械的ポンプの一つです。内部に羽があり、この羽が回転することによって気体を排出仕組みになっており、真空ポンプのなかでは比較的リーズナブルな価格になっているでしょう。また簡単に10pa以下の真空が得られる、コンパクトなど非常に使い勝手がいいという特徴もあり、最も多く利用されているポンプと言われています。

ロータリーポンプを単体で使用するのではなく、他の真空ポンプと併用して活用されることも。また使用するたびに油が変質する、減少するため、定期的に油を交換しなければなりません。

  • 回転翼形油回転真空ポンプ
    偏心ローターがシリンダ面に対して面接触摺動かつ回転します。2枚の羽根がローターに挿入されており、バネによってシリンダ内壁に押し付け、ロータの回転に伴いシリンダ・ローター・羽根で囲まれている空間容積が変化することで吸排気する仕組みです。
  • カム形油回転真空ポンプ
    偏心ローターがシリンダの内面を摺動し、回転。ローター面にバネで押された仕切り板が、吸気側と排気側の空間を創り、回転に伴って各空間の容積が変化することで吸排気を行うという仕組みです。
  • 揺動ピストン形油回転真空ポンプ
    吸気口がシリンダ内面と摺動するスライダと一体型で作られています。偏心ローターの回転に伴ってスライダは上下に揺動し、スライダとシリンダで囲まれた空間の容積が変化して、吸排気を行うという仕組みです。

仕組みによって、上記の3つの種類に大きく分けられます。スパッタ装置のポンプや各種真空装置の大気圧からの排気装置などの用途で活用されることが多いでしょう。真空炉・含浸装置・レーザ・コーティング・セントラルバキュームシステムなど幅広い分野で利用されています。

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オイル不使用・幅広く使えるスクロール型
ドライ真空ポンプメーカー3選

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食品製造向け

アネスト岩田の
DVSLシリーズ

DVSLシリーズ

引用元:アネスト岩田公式HP
(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/vacuum-equipment/dry-vacuum-pump/dvsl-500e)

  • 排気経路内にベアリングが無いため、密閉性が向上し衛生面も安心
  • 真空状態でのネリが必要な製麺会社の要望に応えた実例あり
半導体製造向け

宇野澤組鐵工所の
KTSシリーズ

KTSシリーズ

引用元:宇野澤組鐵工所公式HP
(https://www.unozawa.co.jp/product/dry/)

  • 到達圧力:≦0.08Paという半導体製造に適した真空状態を実現
    ※KTS030-H(ECOタイプ)最大排気速度:500L/m、到達圧力:≦0.08Pa(2024/5/24時点)
  • スパッタリング装置、イオンプレーティング装置といった薄膜形成プロセスに対応
  • 水蒸気やミストといった小さな水滴もしっかり排出
製薬・化学品製造向け

東製のスクリュー式
ドライ真空ポンプ

スクリュー式ドライ真空ポンプ

引用元:東製HP
(https://www.dryvacuum-pump.com/wp/wp-content/uploads/anestiwata_dvsl-500e_image.png)

  • 化学反応、蒸留操作などに適した環境生成のため、さまざまな圧力領域に対応
  • 接ガス部は耐食性ガス対策のため、特殊コーティングすることにより錆から守る
  • 化学物質や粉塵の発生を考慮し、少ない部品で分解・組立・洗浄が可能
さまざまな真空装置にフィットする スクロール型ドライ真空ポンプのメーカーに注目!

接ガス部だけでなく、各部にギアオイルなども使用していないスクロール型のドライ真空ポンプは、さまざまな使用環境に幅広く対応できるメリットをもっています。
このサイトでは、スクロール型の真空ポンプを扱っているメーカーを、サービスの多様さで比較しています。