ドライポンプの破損や故障はさまざまな要因によって起こります。
ただし、ポンプの破損や故障は突然起こるのではなく、予兆がみられることがほとんど。そのためポンプの状態を常に観察し、破損や故障の予兆を見逃さないことが大切です。
真空度または排気圧が上がらない場合の原因としては、以下のことが考えられます。
使用中に異常音が発生し、ロックしてしまった事例です。ポンプの停止後に配管内残圧があり、逆回転が発生したことが原因でした。ロックしただけではなくブレードも破損。対策としてポンプ吸気口と配管の間に逆止弁を設置し、ブレードを保護しました。
ポンプの本体が変色し、ロックしてしまった事例です。原因は常用真空圧力を超えての運転でした。ポンプを使用するときは、仕様表に記載されている常用真空圧力以上での運転は故障の原因となります。そのため仕様表の圧力を超えての使用は避けましょう。
なお、ポンプ機種によってはコントローラにストッパーを取り付けることで圧力の上がりすぎを防ぐことができます。
ポンプから「ピー」という異常音が発生し、不具合が生じた事例です。異常音の原因はマフラーケースにあるノブナットの緩みでした。そのため、フィルターを交換した後マフラーケースの上下を確認。正しく取り付けてからノブナットを確実に締めるという対処を行いました。
サイレントボックス内にあるポンプがロックしてしまった事例です。不具合を引き起こした根本的な原因は、換気ファンの故障でした。換気ファンの故障によってボックス内の温度が上昇したことでポンプのベアリングのグリースが流出。ポンプのロックにつながりました。
対策としては警報回路の設置が必要。サイレントボックス内には温度サーモスタットを活用できます。また、ポンプの取扱説明書には回路図が記載されていますので参考にしましょう。
サイドチャネルブロワに異常が発生してしまった事例です。異物を吸引したことでブロワがロックし過負荷となりました。その結果モータが焼損し、煙や異常音も発生しました。
異物吸引を防止するためにはエアーフィルタの設置が有効です。さらに逃し弁や穴を設置し、吐出圧力や真空圧力を超えないようにすることも大切。サーマルリレーの設置も必要です。
バキュームコントローラの作動に不具合が生じてしまった事例です。この事例ではコントローラの取り付け時にシールテープを使用しており、締めすぎとなっていました。そのためネジ部とその内部が変形しており、圧力が上昇しコントローラの作動不良を引き起こしました。
そのため、コントローラ取り付け時にはシールテープの使用を避ける必要があります。メーカーでは同様の事例が発生しないよう、コントローラ梱包部に注意書を添付するなどの工夫をしています。
ドライ真空ポンプは高価な機器のため、故障したとしても簡単に買い直すということはできません。そのため、なるべくトラブルが起きないように、定期的な点検とメンテナンスを行うことが重要です。ただ、ドライ真空ポンプにはさまざまな種類があるほか、製造しているメーカーによってメンテナンスの方法が異なります。
適切な点検とメンテナンスを行うには、ドライ真空ポンプに精通している業者に依頼するのがおすすめです。そのため、ドライ真空ポンプを選ぶ際は性能のほかに、業者の対応力についてもチェックしておくと良いでしょう。