油不使用のドライ真空ポンプには、実にさまざまな型式があります。揺動ピストン型は、文字通りピストンが揺れ動き真空状態を作り出す機械です。
ドライ真空ポンプ導入を検討するうえで、どういう場合に揺動ピストン型を選べばいいのでしょうか。そこで揺動ピストン型ドライ真空ポンプの構造・原理、推奨用途、ドライ真空ポンプのメリットについてまとめました。
ピストンの往復運動で気体を排出
揺動ピストン型ドライ真空ポンプは、モータと直結した偏心カムの回転に従ってシリンダー内をピストンが往復運動することにより、圧縮された気体を真空として排気する構造になっています。真空が排気される原理としては、ピストンの往復運動によってシリンダー内の空間が変化し、吸気・圧縮・排気を繰り返すことで気体が吐出弁へと移送されるためです。
真空内に油や液体を使用しない
揺動ピストン型を含むドライ真空ポンプは、真空室内に油や液体を使用しないのが特徴です。真空ポンプで使われる油には、ケースとローター間を含むしゅう動部の隙間を埋めて気密性を高めることで、高圧部から低圧部に気体を逆流させない役割があります。ドライ真空ポンプにはその役割をしてくれる油が使用されていないため、低圧部への逆流を避けられず、高真空を得られないのが難点。
一方で、油や液体を使用しないドライ真空ポンプはクリーンな真空を確保できることから、製品の歩留まりやメンテナンス性の改善が求められるFPD・電子・半導体産業などの分野で必要とされています。
低真空状態で安定した圧力を得られる
揺動ピストン型真空ポンプは気体の逆流によって到達圧力が低いというデメリットはありますが、低真空領域で安定した圧力を得られる強みも持っています。また、揺動ピストン型真空ポンプのなかには加圧源として使用できるものもあるため、製品ごとの特性を理解したうえで導入を検討すると良いでしょう。
揺動ピストン型ドライ真空ポンプは非常にシンプルな構造をしています。そのためメンテナンスも比較的簡単。しかしその分、到達圧力も低くいわゆる高真空状態にすることは難しいため、低真空状態を作り出したいときに適している真空ポンプといえるでしょう。加工成形や包装、軽度の真空環境作成などの作業に向いています。
油や液体を使用することもなく、もちろん定期的な交換作業も要りません。吐出弁のメンテナンスが容易なだけではなく、クリーンな真空状態が作り出せます。
しかし、スクロール型の真空ポンプのように、真空状態をキープできるタイプであれば、デメリットが少なく、環境性能の向上や交換時の排気費用といった良さがあります。
用途や使用環境に合わせて、一番適しているタイプを選ぶことが大切です。このサイトではいろいろなドライ真空ポンプを紹介しているので、参考にしてみてください。
数種類の真空ポンプを扱っており、装置改善なども行っている芝浦エレテック。揺動ピストン型ドライ真空ポンプでは「PSL」「PDL」シリーズを開発しており、小型・軽量・低騒音を実現しています。たとえば吸引搬送装置や医療・健康機器装置、シリンダなどのエア源としての用途におすすめ。メンテナンスサービスも行っているため導入後も安定して使用できるでしょう。