ドライ真空ポンプの耐食性

ドライ真空ポンプの耐食性

なぜ耐食性が必要なのか

真空ポンプを使用するうえで、故障は避けたいもの。しかしいくら信頼のおけるメーカーでつくられた高性能ポンプを導入したとしても、耐食性について理解していなければ故障リスクが高まります。

耐食性とは腐食に耐える性能のことであり、腐食によるポンプの不具合を防いでくれます。ポンプが腐食するとポンプ内部の材質を溶かしてしまったり、亀裂が生じてしまうことも。たとえば溶媒などの腐食性の高い気体を扱うとき、耐食性の低いポンプでは腐食してしまう可能性があるでしょう。

そこで、扱う流体に合わせた耐食性のあるポンプの導入がおすすめです。ポンプの種類によっては、高い耐食性によりさまざまな流体に対応できるものもあります。

排気できる物体は接ガス部で決まる

ポンプのなかには、接ガス部に回転部シール用潤滑油を使用しないドライポンプもあります。ポンプ内部はコーティング処理などで耐食性を確保することができますが、ドライポンプがどんなガスを吸引できるのかは接ガス部の材質によって決まります。

軸シール部分に使用する一般的なOリングは合成ゴムですが、種類によって耐食性の特性が異なります。そのため、扱うガスによってOリングの材質を選定することが大切。そこで、合成ゴムの種類別の耐食特性について紹介します。

接ガス部に用いられる素材

  • ニトリルゴム
    メチルアルコールには高い耐食性を発揮します。エチルアルコールや希硫酸(48%)、オゾン系は条件によっては耐食可能。しかし、アンモニアや濃硫酸(97%)、濃塩酸、アセトンなどに対しては耐食性を発揮できません。
  • フッ素ゴム
    耐食性を発揮できる対象が多く、アンモニアやハロゲン系、オゾン系、濃硫酸(97%)、希硫酸(48%)、濃硝酸(61%)、希硝酸(12%)などの腐食を防げます。しかし、メチルアルコールやアセトンの耐食には向きません。
  • クロロプレン
    メチルアルコールやエチルアルコールには耐食性を発揮しますが、アンモニアやハロゲン系、濃硫酸(97%)、濃塩酸などには向きません。希硫酸(48%)や濃燐酸(85%)は条件によって使用可能です。
  • エチレン・プロピレンゴム オゾン系や希硝酸(12%)、メチルアルコールやエチルアルコールへの耐食性があるほか、アセトンにも耐食性を発揮します。一方アンモニアやハロゲン系、濃硫酸(97%)、濃硝酸(61%)からの腐食は防げません。
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食品製造向け

アネスト岩田の
DVSLシリーズ

DVSLシリーズ

引用元:アネスト岩田公式HP
(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/vacuum-equipment/dry-vacuum-pump/dvsl-500e)

  • 排気経路内にベアリングが無いため、密閉性が向上し衛生面も安心
  • 真空状態でのネリが必要な製麺会社の要望に応えた実例あり
半導体製造向け

宇野澤組鐵工所の
KTSシリーズ

KTSシリーズ

引用元:宇野澤組鐵工所公式HP
(https://www.unozawa.co.jp/product/dry/)

  • 到達圧力:≦0.08Paという半導体製造に適した真空状態を実現
    ※KTS030-H(ECOタイプ)最大排気速度:500L/m、到達圧力:≦0.08Pa(2024/5/24時点)
  • スパッタリング装置、イオンプレーティング装置といった薄膜形成プロセスに対応
  • 水蒸気やミストといった小さな水滴もしっかり排出
製薬・化学品製造向け

東製のスクリュー式
ドライ真空ポンプ

スクリュー式ドライ真空ポンプ

引用元:東製HP
(https://www.dryvacuum-pump.com/wp/wp-content/uploads/anestiwata_dvsl-500e_image.png)

  • 化学反応、蒸留操作などに適した環境生成のため、さまざまな圧力領域に対応
  • 接ガス部は耐食性ガス対策のため、特殊コーティングすることにより錆から守る
  • 化学物質や粉塵の発生を考慮し、少ない部品で分解・組立・洗浄が可能
さまざまな真空装置にフィットする スクロール型ドライ真空ポンプのメーカーに注目!

接ガス部だけでなく、各部にギアオイルなども使用していないスクロール型のドライ真空ポンプは、さまざまな使用環境に幅広く対応できるメリットをもっています。
このサイトでは、スクロール型の真空ポンプを扱っているメーカーを、サービスの多様さで比較しています。