冶金産業でも活躍している真空ポンプ。ここでは、冶金に真空ポンプが使われる理由をはじめ、冶金産業における真空ポンプの課題や冶金に適した真空ポンプなどについて紹介します。
真空冶金とは、冶金技術に対して真空技術を高度に適用した方法のことです。冶金のプロセスに真空技術を活用することにより不純物が放出されるため、大気中の冶金に比べて製品の品質や歩留まり率が高いのが特徴。溶融・精製・鋳造などのプロセスで真空技術が活用されており、真空溶解鋳造は高品質の金属材料を供給する方法として用いられています。
また、溶鋼の大量の脱ガスとして利用されるケースもあり。そのほかにも、溶鋼を減圧下で行い、クロムの酸化を防止しながら極低炭素含有の特殊鋼をつくる精錬法もあります。
大気中の溶解では合金の添加が困難なのに対し、真空技術を使えば合金の添加も可能です。また、成分組成の調整を容易に行えるため、高度の耐熱性や耐疲労性を要求されるジェットエンジン用合金や軸受け用合金、高速度鋼などの製品の製造にも活用されています。そのことからも、真空ポンプは冶金の可能性を広げた技術と言えるでしょう。
金属および合金の性質をさらに引き上げるうえで、真空冶金は重要な役割を担っています。そのためにも真空冶金の工業化が必要になってきますが、課題となるのが、炉の設計や真空ポンプ、グリース、元素の添加方法です。真空ポンプについては使用する油の酸化・加熱への耐久性などの問題があり、今後の発展が期待されています。
高品質の製品を製造するには、信頼性の高い真空技術が必要不可欠です。適切な真空ポンプを選ぶことは、製品の品質向上に加え、業務の合理化やメンテナンスの手間の削減、収益の向上などにも役立ちます。そのためにもまずは真空ポンプの用途を明確にし、適した性能を持つ真空ポンプを検討しましょう。冶金産業への導入実績が多いメーカーに相談するのもおすすめです。
冶金産業では排気性能の改善化やクリーン化をはじめ、ポンプの低振動・低騒音化、メンテナンス頻度の低減などが求められています。それらを叶えてくれる真空ポンプとしてドライ真空ポンプが注目されており、冶金産業での導入が増えているとのこと。ドライ真空ポンプとひと口に言ってもさまざまな種類があるため、導入を検討するなら用途に合ったものを提案してくれるメーカーを選ぶと良いでしょう。