医療現場における真空ポンプの必要性

医療現場においても真空ポンプは必要不可欠な存在です。とくに医療現場ではクリーンな環境が求められるため、封止に油を使わないドライ真空ポンプが広く活用されています。

このページでは医療現場における真空ポンプの用途や選び方などについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

 

医療現場に真空ポンプが使われる理由

人工呼吸器などに必要な圧縮空気

救命装置のなかでも欠かせないのが人工呼吸器や酸素濃縮器ですが、これらの装置にも真空ポンプが使われています。

高圧蒸気滅菌装置・吸引装置の真空源

オートクレーブと呼ばれる高圧蒸気減菌装置は加圧による高温蒸気で加熱処理を行いますが、その真空源として真空ポンプが使われています。また、たんなどを吸引する吸引装置でも真空ポンプが役立っています。

血液透析・腹膜透析

透析では患者さんの血液から余分な老廃物を取り除くため、医療機器用ポンプを使用します。小型で軽量、省エネタイプのものが開発されています。

歯科医療で使用されるドリルや超音波洗浄機

歯科医療の現場ではさまざまな用途で真空ポンプが使用されています。たとえばミキサーやデガッサー、グラインダー、ドリルやレーザー、超音波洗浄機など。また、歯の製造に使用する3Dプリンターにも真空ポンプが用いられています。

医療用エアマットレスのセルの膨張・収縮

入院患者さん用の医療用エアマットレスのセル部分にも真空ポンプが使われています。セルを膨張・収縮させることで血行を改善させ、長期療養中の床ずれを防ぎます。

医療現場のポンプにおける課題

異物が混入して止まる

ポンプが故障する原因として、真空ポンプのオイルに水や有機溶接、酸といった異物の混入によるものが考えられます。水や有機溶接がオイルに混入するとポンプ内部のサビが促進され、真空ポンプを使用する機器の不調や故障といったトラブルを引き起こしかねません。また、オイルに酸が混ざるとオイルの重合が進み、べったりとした高粘度の油によりポンプが停止してしまうことも。

医療現場における真空ポンプのトラブルは患者さんの命にもかかわるため、異物混入を防ぐ対策が必要です。たとえば異物がポンプに混入しないように手前で止めるトラップを接続したり、電源を切る前に空運転をして水・溶媒・酸をポンプ外に追い出したり、オイル交換の頻度を増やしたり、などがあげられます。

ポンプの性能(流量や吐出圧)が出ない

真空ポンプが何らかの原因で故障すると、ポンプの持つ流量や吐出圧といった性能を十分に発揮できない場合があります。ポンプの種類によって原因は異なりますが、代表的な原因としては呼び水がされていない、仕切弁が閉じている又は半開きの状態、電圧の低下、ストレーナー・フート弁・配管の詰まり、吐き出し配管に空気が溜まっているなど。

ポンプの性能が十分に発揮されないと真空ポンプを使用している機器や治療にも影響するため、ポンプを購入したメーカーや修理業者に早めに相談するようにしましょう。

医療現場で用いられるドライ真空ポンプの事例

医療機器の製造

医療現場において空気やガスを利用した医療機器や設備は少なくありません。例えば圧縮空気は人工呼吸器などに用いられ、真空源として活用される真空ポンプは医療機関だけでなく介護施設でも利用されています。

また、特に衛生面や人体への影響が懸念される医療現場において、完全オイルフリーのドライ真空ポンプを利用する価値も重要です。オイルフリーのドライ環境を維持できるのであれば、ポンプ内を循環する期待がオイルに汚染される心配もありません。

医療現場に適した真空ポンプとは?

 

医療現場ではさまざまな用途で真空ポンプを使用していることから、複数種類の製品が開発されています。そのため、用途に合った真空ポンプを選ぶことが大切。

たとえば水や蒸気の吸引が可能な水封式真空ポンプやスクロール型真空ポンプ、ダイアフラム型ドライ真空ポンプなど。選定時には到達真空度や排気速度といった性能を確認するのはもちろん、化学的適合性や耐薬品性などもチェックしましょう。

よりクリーン環境を実現できる「ドライ真空ポンプ」

 

医療現場ではできるだけ不純物のないクリーンな環境が求められます。そのため、真空ポンプ選びにおいてもクリーン環境を実現できる「ドライ真空ポンプ」の導入がおすすめです。

ドライ真空ポンプは封止に油を使わず異物混入のリスクも少ないため、クリーンな排気が可能。さらにオイル交換も不要なためメンテナンス性にも優れています。

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ドライ真空ポンプメーカー3選

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食品製造向け

アネスト岩田の
DVSLシリーズ

DVSLシリーズ

引用元:アネスト岩田公式HP
(https://www.anest-iwata.co.jp/products-and-support/vacuum-equipment/dry-vacuum-pump/dvsl-500e)

  • 排気経路内にベアリングが無いため、密閉性が向上し衛生面も安心
  • 真空状態でのネリが必要な製麺会社の要望に応えた実例あり
半導体製造向け

宇野澤組鐵工所の
KTSシリーズ

KTSシリーズ

引用元:宇野澤組鐵工所公式HP
(https://www.unozawa.co.jp/product/dry/)

  • 到達圧力:≦0.08Paという半導体製造に適した真空状態を実現
    ※KTS030-H(ECOタイプ)最大排気速度:500L/m、到達圧力:≦0.08Pa(2024/5/24時点)
  • スパッタリング装置、イオンプレーティング装置といった薄膜形成プロセスに対応
  • 水蒸気やミストといった小さな水滴もしっかり排出
製薬・化学品製造向け

東製のスクリュー式
ドライ真空ポンプ

スクリュー式ドライ真空ポンプ

引用元:東製HP
(https://www.dryvacuum-pump.com/wp/wp-content/uploads/anestiwata_dvsl-500e_image.png)

  • 化学反応、蒸留操作などに適した環境生成のため、さまざまな圧力領域に対応
  • 接ガス部は耐食性ガス対策のため、特殊コーティングすることにより錆から守る
  • 化学物質や粉塵の発生を考慮し、少ない部品で分解・組立・洗浄が可能
さまざまな真空装置にフィットする スクロール型ドライ真空ポンプのメーカーに注目!

接ガス部だけでなく、各部にギアオイルなども使用していないスクロール型のドライ真空ポンプは、さまざまな使用環境に幅広く対応できるメリットをもっています。
このサイトでは、スクロール型の真空ポンプを扱っているメーカーを、サービスの多様さで比較しています。